油性塗料
塗料には主に水性と油性の2種類があり、油性塗料は溶剤に有機溶剤を用いた物で、乾燥時に水分では無く、有機溶剤が揮発するものを油性塗料または溶剤塗料と呼びます。1液タイプのものと2液タイプのものがあり取り扱いが少し面倒ですが、その分水性塗料に比べ、仕上がりや耐久性の面でとても優れた効果を発揮する事ができます。
油性塗料とは?

一般的に塗料は、塗装後に塗膜として残る樹脂・顔料・添加剤、そして乾燥時に揮発して塗膜には残らない溶剤から成りたっています。水性塗料と油性塗料の大きな違いは「乾燥時に揮発する物が、水か有機溶剤(シンナー)か」という違いです。油性塗料は溶剤として有機溶剤(シンナー)が含まれている為、強い臭いを発する特徴があります。更に種類によっては硬化剤を混ぜて使用する2液タイプの塗料や、高温で焼付け硬化が必要な塗料、紫外線などによって硬化するものがあります。その他にも保管時や塗装時の取り扱いに注意が必要なものが油性塗料です。
水性塗料との違い
水性塗料と違い、溶剤に有機溶剤(シンナー)を使用している油性塗料は、その特徴により様々な水性塗料との違いを持っています。まず油性塗料は有機溶剤(シンナー)が含まれている為、強い臭いを発します。更に種類によっては硬化剤を混ぜて使用する2液タイプの塗料や、高温で焼付け硬化が必要な塗料、紫外線などによって硬化する塗料があります。保管や塗装時にも取り扱いに注意が必要で、シックハウス症候群の原因となる塗料もあり、室内塗装時には十分な換気が必要です。このように水性塗料と比べ、手間がかかり扱いに注意が必要な為、初めて塗料を扱う方には少し難しい塗料が油性塗料ですが、その分強靭な塗膜を形成できる為、耐久性が高く、雨風から木材をしっかり保護する事ができます。更に、乾燥も素早く毛羽が立ちにくい為仕上がりも美しいものになります。寒冷地などで冬場に塗装を行う時など、水性塗料の乾燥がうまく進まない場合があるのに対し、雨天や夜間でない限り問題なく乾燥する事ができるのが油性(溶剤)塗料の特徴です。
メリット
- 強靭な塗膜、雨水に強いなど耐久性に富んでいる
(耐久性の高さ) - 耐摩耗性に富んでいる
- 乾燥が早い(乾燥時間が短い)
- ツヤを発揮しやすい(光沢がある)
- 塗料密着が良い
- 仕上がりの美しさ
- 塗装がしやすい
- 豊富な機能を持たせることができる
デメリット
- 塗装はしやすいが取り扱いに注意が必要なので素人には扱いにくい
- 臭いがきつい(臭いが強い)
- 2液型などがあり取り扱いが面倒
- VOCが多く含まれている塗料はシックハウス症候群の原因になる
- 塗布材料の後始末が面倒
- 保管方法に注意が必要
- 乾燥方法が特殊な物がある
このような場所に使用できます








塗装前に知っておきたい注意点
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1. 塗装において
- ・油性(溶剤)塗料は火気厳禁の危険物です。取り扱いにはさまざまな注意点があります。
- ・有機溶剤の使用には、保護具の着用や作業中に中毒症状に陥らないよう換気設備や作業環境をしっかり管理しなければいけません。
- ①塗装中の火気の使用は厳禁
- ・油性(溶剤)塗料は引火性のある危険物のため、火気のある場所での使用はやめましょう。
- ・タバコを吸いながら作業するなどの行為は絶対NGです。
- ②ニオイがこもらないよう換気を徹底
- ・油性(溶剤)塗料は臭いが強い傾向にあります。
- ・有機溶剤が含まれているので、塗装中・乾燥中ともに換気をよくしてください。
- ・場合によっては頭痛や吐き気、めまいを引き起こすこともあります。必ず換気を確保した状態で作業にあたりましょう。
- ・特に室内での塗装は臭いがこもりやすいため、注意が必要です。
- ③塗料を使い始める時に、塗料を十分に撹拌することが大切です。
- ・容器を逆さまにして振った後で開封し、開けたら底から棒でよく混ぜます。
- ・粘り気があり過ぎて(塗料粘度が高すぎて)塗りにくいようでしたら、うすめ液(専用シンナー)でうすめてください。
うすめ液(専用シンナー)を加えると塗りやすくなります。
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2. 塗料について
- ・使用する場所や用途にあった塗料を選びましょう。
- ・1液タイプの塗料は、そのまま又は塗りやすいように専用シンナー(稀釈溶剤)を添加して調整し塗装します。
- ・2液タイプの塗料とは、塗料を塗る直前にA液(主剤)とB液(硬化剤)を指定の割合で混ぜて塗る塗料の事です。
- ・2液タイプの塗料は下地との付着性や乾燥性、塗膜の強度、光沢の維持率が1液型よりも高い傾向にあります。
- ・2液タイプの塗料は硬化剤と混ぜると再利用できなくなります。硬化剤と混ぜてしまうと密封保存をしたとしても硬化を止められません。
このため、可使時間(混ぜてから使用可能な時間)で利用する量だけを硬化剤と混ぜ合わせます。
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3. 塗料の保管について
- ①塗料成分が水になじみやすいので、水やアルコールに侵されやすいものがあります。塗装するものの用途を考慮する必要があります。
- ②低温時、高温多湿時にうまく塗装出来ない場合があるので、塗装環境を考慮する必要があります。
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4. 取扱いについて
- ・塗料が入っていた缶は、地域のゴミ出しルール(不燃ゴミ・資源ゴミ/缶、金属類などの分類の仕方)に従って、廃棄してください。
- ・また古い塗料で缶の中で固まっている場合や業務用の塗料については、専門の産業廃棄物業者に相談してください。
- ・中身の残ったエアゾール缶がゴミに出され、ゴミ収集車両やゴミ処理場で火災が発生するなどの事故事例もあります。
事故を未然に防ぐため、使い切れない場合は適切な方法で廃棄しましょう。 - ・火気のあるところでは塗らない。また貯蔵においても火気に注意する。
- ・エアゾール式のものについては、塗料を吹き付けるときに人や物にかからないように注意する。
- ・用具の手入れについて、使用した刷毛等は塗料用希釈剤で洗い保存する。
- ・油性塗料や合成樹脂調合ペイント、自然塗料などの酸化重合型塗料は、塗料を拭き取ったウエス(ぼろ布)などをそのまま放置してくと、自然発火のおそれがあります。これらの塗料を使用する際は、各塗料の仕様書や容器に記載された表示に従って安全対策をしましょう。